虚実のあわい
2023年コレクション展Ⅰ[特集1]
会期:2023年1月21日~2023年7月23日
(前期:1月21日~4月9日、後期:4月29日~7月23日)
場所:兵庫県立美術館 常設展示室 1階、2階
主催:兵庫県立美術館
協賛:公益財団法人伊藤文化財団、サンシティタワー神戸(株式会社ハーフ・センチュリー・モア)、兵庫県立美術館「芸術の館友の会」
美術作品は虚構と現実のあわいを揺れ動く側面があるということをテーマとして、兵庫県立美術館の10000点にもおよぶ収集されたコレクションの中から選ばれた作品が展示されています。リアルなのかフィクションなのか?多様な表現を見せる作品たちにワクワク、ドキドキします。これぞ現代アートですねえ。2021年に故・大和卓司氏により寄贈・遺贈された新収蔵品の作品も展示されています。
会場内は4つのパートに区切られています。
Ⅰ:リアルの追及/リアルの脱臼
こちらでは現実を写し取っているような絵画や彫刻、写真などが展示されています。現実ではあり えないちょっとしたずれを感じられる作品です。東影智裕の「浸食1」では木を使い精巧に造形された作品は、まるで木とウサギに命が宿っているような錯覚を覚えます。また木下佳通代の「UNTITLED」は見ている自分が作品の一部と化し、写真に写る彼らと同じ空間にいるような錯覚を覚えます。
Ⅱ:虚実の混交①ー現実へのまなざし
西山美なコの「ハ~イ、わたしエリカ♡」は1992年の作品で、人間の性をありありと表現した風俗産業の要素が強い作品です。当時の「テレクラ」を忠実に再現し、電話を介して女性と話ができるブースがあったり、街で配布された宣伝入りのポケットティッシュやポスターも見ることができます。極めつけは、2次元バーコードを読み取ると当時のテレポンクラブの音声を聞くこともできます。
また、高橋浩平の「HARADA-san」は3度の食事よりもアートが好きな彼の人生を年表と映像で紹介していますが、本当なのかフィクションなのか?これまた摩訶不思議な世界です。
Ⅲ:現実と改めて「出会う」ー「もの派」の作家たち
「もの派」・・石や木などの自然の材料や、そこにある「もの」を使い、手を加えずに作品として提示したもので、1960年代~70年代にかけての動向です。作品だけでなく置かれている空間とともに生み出す世界観が重視されています。特別展として開催されている李禹煥の作品も展示されています。
Ⅳ:虚実の混交②ー次元を超えて
このコーナーでは、前半は彫刻や陶器など様々な立体作品が登場。今村遼佑の作品は辞書の上に立つ電柱?( ´艸`)、今村源は冷蔵庫の上や中に思いがけないものが置いてあったり入っていたり( ´艸`) 大西伸明は存在感を消すような作業用脚立。守口宏和は毛糸玉のように見える真鍮の玉。いやあ、面白いですねえ。そして横山雄一の漫画「ふれてみよ」は、その漫画に登場する彫刻作品がこの会場に一堂に会しています。ぜひ探してみてください!
そして後半は1つの映像データを映像や石板、金属板などの媒体にアウトプットした林勇気の映像インスタレーションが展示されています。色の三原色を数字で表記しそのカラーを発信する作品もありました。映像のインスタレーション作品は、今の時代ならではです。
今回のコレクション展、なかなかに面白いです。家に帰ってからテレポンクラブの音声を聞いてみました。流れてくる音声は、昔聞いていた「私リカちゃん」と同じような感じでしたが・・かなり高い声の上、超早口なので、聞き取るのが大変でした・・( ;∀;)
flyer
作品ガイド
作品リスト
前期・後期にわけてギャラリー形式でアップします。写真をクリックすると大きな画像で表示されます。(2023年5月3日更新)
前期
後期
この記事へのコメントはありません。