没後30年 木下佳通代展
会場: 大阪中之島美術館
会期: 2024年5月25日 ~ 8月18日
主催: 大阪中之島美術館 5階展示室
協賛: 株式会社アサヒグラフィック、株式会社エグザイルス、国土防災技術株式会社
協力: カゴヤ・アセットマネジメント株式会社
助成:公益財団法人 小笠原敏記念財団
大阪中之島美術館では、大人気だったモネ展が終了し4階はひっそりしています。5階展示室では、神戸に生まれ関西を拠点に活躍された作家、木下佳通代さんの個展が開催されています。日本国内の美術館では初めての開催です。すご~~いい!!
1939年に神戸で生まれ、京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)で学び、神戸市で美術教師として勤めたのち、1960年代末から「存在とは何か」をテーマに本格的に作家活動を開始されました。
70年代には、写真を用いた様々な作品を発表。神戸の花時計とそれを撮影している人を1組とした写真のシリーズや、何もない空間に1つずつオブジェを置きまた順に取り除いていく作品では同じ空間に見えても異なる空間として存在しうる事を映像と写真で表現されました。
ぱっと見は1枚の写真に見えますが、よく見ると複数の写真がコラージュされていたり、ゼログラフィー(青焼き写真)と呼ばれる電子複写技術とフェルトペンを使った作品なども展示されています。どの作品もとても手が込んでいます。
また図形を描いた紙を折ったり歪ませたりして変形させたものを撮影し、その上にさらに同じ線や円の平面的な図像を描いた作品群は、人間の知覚を根底から見つめ直すものです。同じ円なんですけどね・・・ これらの作品はヨーロッパでは大変高く評価されますが、作品を完成させるために非常に時間を要する事から、1980年頃から写真を離れパステルを使った作品を試行。これが1980年後半の絵の具を塗った後に布で拭き取る工程による油彩作品へと展開していったとのことです。
作家として一番脂ののった1990年に神戸中央市民病院で乳がんを告知されるも手術を拒否。制作を続けながらアメリカまで治療法を求め渡米するも、1994年に神戸にて55歳という若さで逝去されました。非常に残念です。非常に几帳面な性格の方だったようで、ご自分の作品の資料や展覧会の様子にいたるまで、丁寧にスクラップブックに整理されており、今回の個展でも参考になったそうです。このスクラップブックなど貴重な資料はショーケース内に展示されていて、みることができます。
会場内では年代を追って順に彼女の作品をみることができます。写真はゆっくりと近くで見る事をおススメします。フェルトペンの線なども見ることができますよ。晩年に描かれた油彩はとても巨大な画が多く、広い空間を使って、ゆったりと展示されています。こちらは会場の中央に立って、ぐるっと見渡しながらみるのがいいかも?です。
平日だったせいか、会場は人が少なく、とても静かで、落ち着いて鑑賞する事ができました。ありがたかったです。
flyer
作品リスト
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