Contemporary Art・Art

特別展 跳躍するつくり手たち

特別展 跳躍するつくり手たち
人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー

会期:2023年3月9日~2023年6月4日
場所:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
主催:京都市、京都新聞、日本経済新聞
企画:京都市京セラ美術館、川上典李子、米山佳子
監修:川上典李子
展示デザイン:佐野文彦
空間演出:遠藤豊
グラフィックデザイン:真野真吾
協賛:株式会社マツシマホールディングス、NISSHA株式会社、一般財団法人NISSHA財団

デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立後、デザイン、アートを中心に取材や執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションなどを手がける川上典李子氏が企画・監修を行う「特別展 跳躍するつくり手たち」を見るために京セラ美術館に行ってきました。

サブタイトルにある「人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー」通り、昔から脈々と受け継がれる技法を使い、さらに柔軟な発想で作品を構築する20作家(個人・チーム)の作品が展示されています。

本展は
・ダイアローグ:大地との対話からのはじまり
・インサイト:思索から生まれ出るもの
・ラボラトリー:100年前と100年後をつなぎ、問う
・リサーチ&メッセージ:未来を探るつくり手の現在進行形
の4つのセクションで構成されています。

~~~ ダイアローグ ~~~
技術の伝承と将来が垣間見える作品の数々。このセクショが一番お気に入りでした。なので、全部紹介しちゃいます。(´∀`*)ウフフ

石橋源太:漆を発泡スチロール球などの既製品を伸縮性の布で包み、そこに漆を繰り返し塗ることで作られた作品です。ドロッとした質感を思わせる赤黒さは、血液のようにも見えます。

津守秀憲:ガラスと土を混合した独自の素材に熱を加えることで、作品に歪みやひび割れ、細かな細い線などが加わり、単なる焼き物ではない、躍動感を感じられる作品です。

田上真也:手捻りにより作成された様々な形の器。シリーズ名は「殻」です。「殻」は内に生命を宿すもの。青は生命の誕生を意味する「(原始)の海の色」。過去・現在・未来を見つめる作品です。

西中千人:自身で作製したガラス器を一度叩き壊し、再度それらを溶かして継ぎあわせた作品です。「呼継(よびつぎ)」という技法で、陶芸の伝統的な修復方法である金継の一種だそうです。どの作品もキラキラ輝いていてとても綺麗です。

長谷川絢:真竹、黒竹、女竹という3種類の竹を曲線を描くようにしなやかに編まれた作品。好きなように見てくださいという言葉が印象的でした。

中川周士:彼の父親である重要無形文化財保持者(人間国宝)の父、中川清司が生み出した「柾目合わせ」を用いた作品が展示されています。「柾目合わせ」とは、柾目に沿って一定角度で木を割り、それらの年輪の方向を合わせていく木工技術です。年輪の数に過去を思い描き、技の継承に未来を描く。本当に美しい作品です。

~~~ インサイト ~~~
こちらも見ごたえあります!抜粋していくつか紹介します。

岩崎貴宏:巨大な真っ黒な風景のジオラマ、よくみると布や糸、綿棒などから作成されています。断層の上に、人口的な鉄塔が並んで立っていて、生命が感じられずなんとなく怖い作品です。

佐野文彦:最小限の細工で物体を組み合わせた木の作品。見る方向によって全く違う作品にみえます。いったいどちらの方向から見るのが正解?

井上隆夫:アクリルに埋め込まれたチューリップのブロックが二重螺旋状に踏みあげられた「ブロークンチューリップの塔」。永遠の命とは?

高橋賢悟:生花を方に埋め込み焼成することで、内部の花を消失され、その空間にアルミニウムを流し込む「現物鋳造」という技法とワックスで作った原型をベースに鋳物を作るロストワックス技法を組み合わせた精密鋳造作品。死と再生をテーマにした作品。魅入ってしまいます。

~~~ ラボラトリー ~~~

こちらでは、巴山竜来のデジタルを使い数学的処理を経て生成したデータから織り上げたテキスタイル作品や、伝承技法を継承し手仕事を経てつくられる「開化堂」の茶筒が、回転したり、下がったりする作品など、現在の技と未来が融合するチャレンジ作品が展示されています。

~~~ リサーチ&メッセージ ~~~
さて、最後のセクションです。こちらは巨大な作品ばかりです。

TAKT PROJECT(吉泉聡を代表とするデザインスタジオ):光で固まる液体樹脂をプログラミングされたLEDの光で直接固め続ける作品です。光ることで成長し、成長することで光が変化するとのこと。刻々と作品が変化し続けます。会期の初日と最終日でどのように変化したか見てみたいな~と思います。←えっ、、私、また来るの?(;’∀’)

A-POC ABLE ISSEY MIYAKE(宮前義之率いるエンジニアリングチーム):京都の伝統的な手捺染技術を応用し、様々な加工を施し仕上がった1枚の布から仕立てられたブルゾンなどが展示されています。

そして最後は田村菜穂:様々な形の吹きガラスで作製された横一列に吊り下げられた「フロート」が、2分余りをかけて、光がゆっくりと点滅しては消えるインスタレーション。青から白へ・・一瞬、一瞬が絵になります。

今回は、多くの作品が昔からの伝統的な技を継承しつつも、未来へむけて一歩踏み出した創意工夫のある作品が展示され、作品に対する思いや考えもちゃんと伝わってくる良い展覧会だったと思います。将来への飛躍が楽しみなアーティストさんばかりです。

flyer


作品リスト

 

1作家(もしくは1グループ)1枚で、ギャラリー形式でアップします。写真をクリックすると大きな画像で表示されます。

 

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