遠距離現在 Universal/Remote
会場:国立新美術館 企画展示室1E
会期:2024年3月6日~2024年6月3日
主催:国立新美術館
人、資本、情報のグローバル化を推し進めてきた社会が、2020年のCOVID19の大流行による世界中のパンデミックにより、それまでの生活が一変しました。リモート化された社会がすすむポストコロナ時代を見つめた8人と1組のアーティストのよる作品が9つの部屋の分かれて展示され、そのうちの4つが映像作品です。遠距離恋愛ならぬ、遠距離現在です。
次にどんなことが起こるのか?と想像しながらみる「火」を使った井田大介の映像作品。その後はなく正解はわかりません。一発触発で成り立っている今の世界や不確かな将来を考える作品です。また、ただただケーブルをつなぐだけのチャ・ジェミンの映像作品。だれもが毎日のように利用するインターネットは、情報を得るための絶対的ツールですが、実は世界中に張り巡らされたケーブルにより使用する事ができます。このケーブルなくして世界とつながることは困難ですが、ケーブルは人が繋いでいるんです。なかなか意味深いですねえ。ヒト・シュタイエルは部屋全体が作品になっています。青壁の中央にはブランド品やファッションなどの情報を発信する3つのスクリーンとその向かいに観覧できる椅子が設置されています。SNSやネットで拡散する情報についての問題定義ですね。その情報、ほんと??疑わないと騙されちゃいますよ (;’∀’)
トレヴァー・パグレンの二つのAI(情報を学習し続けるAIと、そのAIをだます働きをするAI)が作ったにせ画像の展示や、ティナ・エングホフのひとりきりで亡くなった人の室内を撮影した「心当たりのご親族へー」シリーズ。どのような生活をしていたかを考える作品です。日本でも高齢のひとり暮らしの数増え、孤独死も大きな社会問題となっています。非常に重いテーマです。最後の部屋のエヴァン・ロスは自身のパソコンに自動で蓄積された画像データを印刷して貼り付けたもの。膨大な量に圧倒されます。
ほかにも地主麻衣子の自身が旅した映像を作品にしたものや、シュ・ピンのインターネットで公開されているカメラ映像をつなぎ合わせた映画、木浦奈津子の景色を描いた作品は、はっきりと物体は描かれてはいるものの、その場所がどこなのかは記載されておらず、鑑賞する人の記憶を呼び起こすもの。思い出の景色を探す時間が流れます。
なかなか難しいテーマだけに表現されていることが理解しがたいもののあります。そんなときのためにおススメなのが、入口の作品リストとともに置かれている「〇才のわたしと2012~23年の世界」というミニガイドです。子供向けかもしれかせんが、それぞれのアーティストさんの作品がポイントを絞って分かりやすく解説されている上に、一人一人にとっての「距離」とは?を考えるヒントが紹介されています。自分で書きこみ、「コロナ」前後の自分の見ている世界がどんなふうにちがうのか?ぜひやってみてください。大人がやった方がいいかも?です(*´∀`)
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作品リスト
〇才のわたしと2012~23年の世界 ミニガイド
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