MUCA展
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
会期:2023年10月20日~2024年1月8日
主催:ICONS of Urban Art制作委員会、京都市
企画制作:MUCA(Museum of Urban and Contemporary Art)
楽しみにしていたMUCA展がいよいよ京都で開催されます。大分市美術館を皮切りに京都、東京へも巡回されます。
MUCAとは、2016年にドイツでアーバン・アートと現代アートに特化した作品を展示するための美術館で、Museum of Urban and Contemporary Artの頭文字をとり名づけられました。アーバ ン・アートや現代アートにおける20・21世紀の最も有名なアーティストの作品が多数展示されており、今回はその中でも日本になじみにのあるバンクシーやカウズなど10名のアーティストの作品が70点あまり展示されています。
作品の紹介をするにあたり、まず、現代アートについて少し解説したいと思います。現代アート(コンテンポラリーアート)とは、歴史の現代を借りた用語で、美術史における今日、すなわち20世紀後半の第二次世界大戦後の1950年以降から21世紀までの美術を指しています。 ただ、その時期に作成されたからではなく、作品自体に現代社会の情勢や問題が反映されていたり、美術史や社会への批評性を感じさせるようなものを言うそうです。初期に発表されたデュシャンの泉は小便器でした(;’∀’)し、アンディーウォーホルのキャンベルのトマト缶もどうよ?ですよね( ´∀` ) これらの作品は発表された当時はアートとして認めらませんでしたが、以降、古典的な「美」への疑問は多くのアーティストに広まり、従来の「美」の概念にとらわれない、現代アート作品が生み出されるようになりました。ただ、個々のアーティストにより作品に対する考え方や思い入れは異なることから、それらを理解するには作品の背景なども読み解く必要があり、そこが現代アートはわからないと言われる所以にもなっているのでは?と思います。
またアーバンアートも最近よく耳にしますが、現代アートの中でも現代の都市空間で発達した視覚芸術で、一般的には、壁や建物、道路や橋などの公共の場所にアートを描くものを指します。公共空間上に無許可に設置された、時には破壊行為や私有地の器物損害行為と見なされることもあります。バンクシーなどがそれにあたるかと思われます。アーバン・アートには、様々な種類があり、グラフィティ・アート、ストリート・アート、ポスター・アート、ステンシル・アート、モザイク・アートなどが挙げられます。多く人々の目に映るこれらのアートは、見る人の心にそして社会へ痛烈なメッセージを訴えかけます。
それまでの既成概念をかえる19世紀後半のフランスに端を発した絵画を中心とした芸術運動である印象派、当初は全く認められなかったそうですが、現在では誰もが素晴らしい作品と認め、その展覧会には多くの方が足を運ばれます。さて、現代アート作品、日本では、いまだにわからない、後世には残らないと言われる方も少なからずおられますが、今後いくつの作品が後世に残っていくか、今後が楽しみです。
さて、ここからはやっと本題の「MUCA」展です。世界的に活躍するバンクシーや、カウズを主体に、以下10名のアーティストの作品が展示されています。
*バンクシー
*カウズ
*バリー・マッギー
*オス・ジェメオス
*インベーダー
*JR
*ヴィルズ
*シェパード・フェアリー
*リチャード・ハンブルトン
*スウーン
何人か簡単に紹介します
*バンクシー
現在もっとも有名なストリート・アーティスト。よく紹介される《少女と風船》などとともに、今回は『ディズマランド』で、腐敗したシンデレラ城の前に、象徴的に置かれた『アリエル』の彫刻が展示されています。また2018年に発表された《パレスチナの壁》はまさに今!を象徴する作品。見事です。
*カウズ
《4フィートのコンパニオン(解剖されたブラウン版)》が展示されています。カウズの作品って両目が×だと思っていたんですが、違うんですね。
*インベーダー
モザイクアート。正方形のドットの組み合わせで作製されています。ルービックキューブみたいな配色の作品もあります。
*シェパード・フェアリー
アイコン的な著名人を作品の題材としているが、2008年にバラク・オバマ元大統領のポスターを手掛け、大統領選での勝利を後押ししたことで有名とか。
*リチャード・ハンブルトン
今回、この方の作品が一番刺さりました! ストリート・アートのゴッドファーザーと呼ばれているそうです。すでに他界されていますが、《ファイブ・シャドウズ》や《シャドウマン》はすごい迫力です。鬼気迫る何かを感じます。
などなど。アーバン・アートの先駆者達の作品を一堂に会して見ることができる絶好の機会です。会場内は若い方が多く、熱心に写真撮影されている方もおられました。会期期間も比較的長いので、現代アートが気になっている方は、足を運ばれてはいかがでしょう?
flyer
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