Contemporary Art・Art

関西の80年代

関西の80年代 今、ふりかえる関西ニューウェーブ

会期:2022年6月18日~2022年8月21日
場所:兵庫県立美術館
主催:兵庫県立美術館、朝日新聞社
助成:芸術文化振興基金、公益財団法人ポーラ美術振興財団
協賛:公益財団法人伊藤文化財団
特別協力:公益財団法人日本教育公務員弘済会 兵庫県支部

兵庫県立美術館で始まった「関西の80年代」という美術展に行ってきました。入口で写真撮影OKの立札を確認し(OKの下に小さくダメなものもあると表記されていたの見落としました・・・すでに老眼の域、知らずに係りの方に注文付けてごめんなさい。大文字&赤字で記載して欲しいなあ・・・あとは撮影禁止作品の手前に撮影禁止マークが欲しいです。←文句言いで済みません m(__)m)、意気揚々と3階の会場に向かいました。いつもは正面左手からの入場ですが、今回は右手突き当りの通路を奥に進んだところでチケットのチェックです。その通路には2022年から1980年までの出来事などを簡潔に列挙したパネルが展示されています。2022年から1980年までの文字によるタイムトラベルです。以前京セラ美術館の平成美術 うたかたと瓦礫 でみた「平成の壁」と似てますが、今回は良いことも悪いことも含めての列挙です。いろいろと思い出しながら見ていると、思った以上に時間を費やしてしまいました。パネル写真ですが、枚数が多いので画像をつないで動画にしてアップしてみました。タイトルは「関西の80年代 タイムトラベル」にしてみました。15秒で1枚ずつ切り替わります。


 

展覧会のテーマは「関西の80年代」。80年代はミーイズムといわれ、美術界ではリアリティを起点に作家がそれぞれの表現を展開した時代です。今回は80年代「関西ニューウェーブ」として注目を集めた関西気鋭の若手作家の当時の作品が(あるいは再度復元や再構成をして)展示されています。作品は大型、もしくは巨大といっても過言ではない大きさのものが多く、巨大アート好きにはたまらない魅力にあふれた空間です。

そういえば、「大きい」で思い出したことがあります。1967年にヒットした山本直純さんの大きいことはいいことだ」、森永チョコレートのコマーシャルソングです。作家さんの多くは幼少期から青春時代にかけてこの歌を聞いて育った年齢?!もしやその影響もありでしょうか?(。´・ω・)?

開場内はプロローグと4つのテーマで分けられています。今回はちょこっとは端折りますが、とりあえず全作家さんの作品を紹介してみます。作家さんの敬称は略させていただきます。久しぶりに結構長編。読むのが大変かも?ごめんなさい。

2022年7月15日追記
展示替えが行われ、三村逸子の2作品が移動し、そのあとに写真撮影が不可であった北辻良央の作品が数点増えて展示されています。写真も追記しました。


「プロローグ」
奥田善巳、北辻良央

奥田善巳はクロスする線のみで多数の林檎を描いています。輪郭をかかずに丸い林檎を表現するテクニックがすごいです。北辻良央は薔薇を2次元と3次元を使い表現。プロローグには持って来いの作品です。

「1:フレームを超えて」
辰野登美子、朝比奈逸人、中谷昭雄、北山善夫、福島敬恭、栗岡孝於、川島慶樹、飯田三代、堀尾貞治、榎忠

左手前の壁に辰野登美子朝比奈逸人の作品があります。ともに色鮮やかですが、赤が辰野、緑が朝比奈作品になります。その奥には中谷昭雄の幾何学的な3つの四角い面があり、見る方向で重なりを楽しむ事ができます。影に注目すると楽しいかも?正面一番奥の壁には北山善夫の立体作品が展示されています。白い壁に映えますね。何に見えるかは人それぞれ。私は空に浮遊する船に見えます。そして右側の壁には福島敬恭の青い背景の前に円柱が置かれた作品が、お隣には栗岡孝於の幾何学的な巨大な画があります。はす向かいに川島慶樹の木材をのみなどで削り作成された「Three Flamingo Pinks」があります。フラミンゴ!!確かにそう見えます。次の会場へ続く出口の壁には飯田三代の巨大垂れ幕が。「ヘタウマ」なイラストが流行した80年代。そのパワーに圧倒されます。訴えるものがあればへたっぴでもいいんです!!( ̄▽ ̄) 順路に沿って次の部屋へ向かう通路の壁には、堀尾貞治と榎忠の活動記録写真が展示されています。

「2:インスタレーションーニューウェーブの冒険」
藤浩志、石原知明、杉山知子、松井智惠

次の会場に入る前の「光の庭」には藤浩志の「はにわ」が山田修二の「のし瓦の小径」とともに展示され、その横では「はにわ」に関するビデオが流されています(最後に展示されたハニワに関する情報をアップしています)。会場入り口の「こいのぼりくんの一生」も同じ作家さんです。会場に入って奥の空間では石原知明が自写像をキャンバスに移した作品が再作成された草緑色の壁に展示されています。サーフボードに裸の人が乗っているようにしか見えない私です。(m´・ω・`)m  その奥には杉山知子の海辺にあるプライベートビーチの1室をデフォルトしたようなカラフルな巨大作品があります。楽しそう!! 最後は松井智惠の80年代のインスタレーションです。素材や記録が壁やガラスケース内に大量に展示されています。また当時の展覧会の案内状も展示されています。ちゃんと保管されているんですね。すごいです。

「3:「私」のリアリティ-イメージ、体、物語」
森村泰昌、濱田弘明、吉原英里、山崎亨、中西圭子、原田要、中西學、松井紫朗、小西祐司、松尾直樹、河合(田中)美和、川島慶樹、池垣タダヒコ、安井須磨子、三村逸子

こちらの会場では森村泰昌自身がアートに登場する人物になりきって撮影された写真が複数枚展示され、その隣には濱田弘明の木や布、吉原英里の傘や帽子など実際にあるものを画と組みあわせてつくりあげる作品があります。見る方向や立ち位置で、作品が違ってみえます。そして、実際に動かせる山崎亨の作品。今回は触れないようで残念です。左手壁には中西圭子の布をはぎ合わせたアートがあります。そしてここからは動植物をテーマにした巨大アート作品が展示されいます。考えるにテーマは「生きる」かな?まずは、原田要の巨大な花の器?どこが正面なのかわかりません(;’∀’) 左手の壁には中西學の欄間をイメージしたロックバンドの横に長い巨大透かし彫り。部屋の中央には松井紫朗の植木鉢(;’∀’) そして右手壁奥から順に、小西祐司のウサギちゃん。少し離れてみた方がウサギってわかります。カラフルな色使いでとてもキュートな仕上がりです。続いて松尾直樹の掛け軸調のネズミに巨大な恐竜。最後は河合(田中)美和の生命体の画が展示されています。中央奥の壁には川島慶樹の木調アート。1の「Three Flamingo Pinks」と同じ作者です。その前には池垣タダヒコの巨大クジラ。大きいことは良いことだ~~(^^♪ 巨大アート空間を抜けてちょっと一息。こちらでは安井寿磨子のエッチング作品(恐竜が鼻に棒をさしてる画がお気に入りです!!クスっと笑ってしまいますよ)や、三村逸子のわざと書きにくいインクで加えられた線による海図→偏西風の影響を線で表しているとか( ゚д゚)ウム?があります。ちなみに、このあとの2作品は写真撮影禁止です(→展示替えが行われすべて撮影可能になりました)。


4「私」の延長に
KOSUGI+ANDO(小杉美穂子・安藤泰彦)、山部泰司、TRIO(福田新之助、浜本隆司、中澤テルユキ)、赤松玉女+森村泰昌、田嶋悦子、中原浩大

今回私が一番印象的だった作品はKOSUGI+ANDO(小杉美穂子・安藤泰彦)の「芳一 ー 物語と研究」です。1987年「京都アンデバンダン展」に出展されたものを今回一部、再作成の上再構成して展示されています。1つの部屋すべてを使っての超巨大なインスタレーションです。子供なら迷路?と間違って走り回るかも?大人でも動きまわってしっかり、じっくり鑑賞。超面白かったです。これを見るためにもう1回来館してもいいかも?です。写真はたくさん撮影しましたが、実際に体験してみないとダメでだと思い、2枚のみアップしました。

興奮冷めやらぬ気持ちを抑え、つぎの会場へ。入口すぐの壁には、山部泰司の大輪の花の絵が展示されています。非常に力強い筆使いに強力な生命力を感じます。左手にはTRIO(福田新之助、浜本隆司、中澤テルユキ)の3人のユニットによる画。右手には赤松玉女+森村泰昌のヴィーナスの誕生を基にした作品が展示されています。凝ってますねえ。そして会場中央にはパラダイスを思わせる田嶋悦子の陶でできた作品があります。見ていてウキウキ、楽しくなりますね! そしていよいよ最後の会場へ。こちらでは緑の毛糸で編まれた太いひもとそこから派生する葉っぱ?らしきもの&赤と黒の2色の球体が2つ。部屋の空間全てを使ったインスタレーションで、中原浩大の作品になります。林檎を思わせる赤い球体や、林檎の軸のような編み物もあったし、もしやアダムとイヴ??やはり生命を表現されている?おっと、もしや最後も林檎でシメですか???( ̄▽ ̄)

最後に思ったこと。それはflyerにも記載されていましたが、「80年代は、過去じゃない」 そう、まさに現代でも通じるアートです。昨今、様々なアート作品が生まれていますが、その現代アートの原点を80年代の関西ニューウェーブに見て取ることができたように思います。関西、やるじゃん!!素晴らしいじゃん!! そして、80年代に目をつけ、巨大なアートの数々を集め、企画展を行ってくださった兵庫県立美術館に感謝、感謝!!!開館20周年に恥じない素晴らしい美術展だと思いました。1人でも多くの人が来館されることを願っています。

flyer



作品リスト



「はにわ」についての詳しい情報はこちらから。会場でビデオみましたが、面白かったので、会場にあったflyerをアップしておきます。興味のある方は2次元バーコードからアクセスしてみてください。




ギャラリー形式でアップします。上記で解説した作品順に写真をアップしています。基本一人の作家さんにつき1枚ずつアップしていますが、コラージュして半分ずつ組み合わせて1枚にしたり、2枚アップしているものもあります。クリックすると大きな画像で表示されます。2022年7月15日に一部写真を追加しています。

 

えっ、またワシ??(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪ 今回は超絶楽しかったぞ!現代でも充分通じるアート作品ばかりじゃった。この時代に目を付け企画を行った学芸員および関係者は素晴らしい 星5つじゃ~~~~~!!(えっ、星は3つまで? 良しとせえ ( ̄▽ ̄))

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